プログラム

エグゼクティブサマリー

 今日、世界は不安と混迷の中にあります。欧州や中東での紛争は、台湾をはじめとしたアジア・太平洋の安全保障環境に懸念を広げ、二度の大戦を経て形成され冷戦を乗り越えてきた現在の国際秩序の枠組みが大きく揺らぎ始めています。

 この様な背景と共に、サイバー領域や認知領域などを舞台とした情報戦は、その厳しさを増加させています。すでに多くの国ではサイバー空間を、作戦指揮等を行う為の非常に重要な作戦領域として位置付けられ、その攻撃・防護対象は重要インフラをはじめとした民間組織・活動にまで及んでいます。

 また、生成AIや量子コンピュータなどの先進技術が急速に進展し、これらを応用し人間の認識を制御する認知戦等に利用され、社会基盤そのものを揺るがす事態まで引き起こしています。

 さらに、センサーやロボット等の制御をAIが行う時代に突入しようとしている現在、この様なサイバー空間の脅威は、国家や社会の安全保障のみならず、今後は企業の経済活動にまで深刻な影響を及ぼしてくるものと考えられ、企業経営者にとっても“地政学的変化により、現在世界で何が起こっており、それにサイバー空間での出来事がどの様に関連しているのか”を認識することが必須となります。

 CYDEF2025は、これらの危機的な状況の中で、如何に持続的な発展を図っていくか、民間企業を含むすべての参加者とともに、今後の対策を共に考え、行動に移すための場を提供します。米国、欧州、ASEAN諸国などの自由主義国から集まる情報、インテリジェンス、サイバーセキュリティ、安全保障をはじめとした各分野において、確たる理論的なバックボーンと最前線での実践経験を持つ専門家が一堂に会し、現代の紛争、サイバー戦、そして重要インフラ防護の現状について深く議論します。

 CYDEFは、2018年よりこの方、日本国内では得難い貴重な情報を日本語で学び質問し議論できる機会を提供し、最新の戦略や技術を駆使した実践的な知見を共有してまいりました。特に、民間企業やビジネスリーダーにとっても、これらの脅威にどう対処するかが今後の成長やリスク管理に直結する重要な課題であり、その意識を強く持つべき時が来ています。

 (なお本カンファレンスはISC2のCPE(Continuing Professional Educations)対象イベントです. ISC2メンバーの方は,セッション(懇親会等を除く)への参加時間に基づいてご自身でCPEクレジットを申請してください.1時間の受講あたり1CPEとなります。)

Session 1:

「能動的サイバー防御(ACD)における官民連携と防衛省の役割」

日本において能動的サイバー防御(ACD)の実施が正式に決定され、国家レベルでのサイバー対処体制が新たな段階に入った。その実効性を確保するには、官民の明確な役割分担と連携体制の構築が不可欠である。
特に防衛省には、安全保障の観点から技術・制度・運用面での関与が求められている。
本セッションでは、ACDにおける防衛省の役割を含め、実効的な官民連携のあり方を検討する。

Session 2: 重要インフラ防護

「重要インフラの防護とレジリエンスの確保」

重要インフラセクターとして、情報通信・金融、交通、エネルギー等様々な分野があるが、これらのセグメントに所属する企業のシステムは、Malwareによる障害の疑いがあっても、その影響範囲が大きすぎる為に簡単にシステムを停止して調査・対応することができない面が存在する。
また国内でサプライチェーンを完結できない場合は外国製製品を重要インフラに使用せざるを得ないというリスクも存在する。
本セッションでは重要インフラセクターの防護はどうあるべきか、何が必要か等を議論して頂く。

Session 3: 認知戦

「認知領域の安全保障」

経済安全保障のために、ナラティブ(物語)の果たす役割は近年急速に高まっている。これは、情報流通のための環境や、人々が情報を取り扱う方法の変化に基づいている。
ナラティブは、政治、文化と独立に議論することは難しい。しかし、サイバー技術としてこれを扱う場合は、まずエンジニアリングとしてこれを扱う技術について検討することが必要である。
本セッションでは、政治活動や文化活動との関連の上で、ナラティブの安全保障上の価値を保全するための実践的な取り組みを検討する。

Session 4: 宇宙・電磁戦

「新たな作戦領域としての宇宙空間」

近年宇宙分野のセキュリティ確保が重要視されている。多くの重要インフラを支えるシステムが衛星によるGNSS(Gloval Navigation Satellite System)からの信号を使用しており、これらの衛星は敵対国のKiller衛星の脅威にさらされている。またウクライナ紛争等で使用された長距離ドローン等もGNSS信号による航法を使用していたり、GNSS信号の偽装により民間航空機の運用に影響を及ぼす等の事例も存在する。また有事における海底通信ケーブルの切断時のバックアップとして民間通信衛星を利用する他国政府の動きもあるが、一人の大口株主の意向で利用の可否が決定してしまう民間通信衛星の利用には国家安全保障の面から考えた場合に問題も生じる。 宇宙や電磁波領域でのセキュリティ確保がますます重要な問題となってくるものと推測され、本セッションでは宇宙・電磁波領域でのセキュリティ確保はどうあるべきかを議論して頂く。

Session 5: 破壊的イノベーション

「量子時代におけるサイバーセキュリティ」

量子コンピューターによる暗号解読の危険性は20年先ともいわれる量子コンピューターの完成を待たない。ハーヴェスト攻撃の脅威は現実的なものとして、それへの対策は喫緊の課題となっている。Post Quantum Cryptography (PQC)は長年研究されているが、まだ解決されていない課題を有している。衛星量子暗号システムと統合した量子暗号鍵配送(QKD)ネットワークは地球規模のセキュア情報インフラ構築へのソリューションを提供しうる。QKDネットワークの社会実装により長期間の暗号の安全性と低レイテンシーの両立でき、PQCと共存してお互いの長所を生かしたシステム構築が可能となる。本セッションではQKDネットワークとPQCを統合した量子時代の安全な情報インフラの構築に向けた現実的なアプローチを検討する。

Session 6: 人材育成

「安全保障を踏まえたサイバー教育」

サイバー脅威は技術的なもののみならず、認知的なものも含むものである。
昨今の権威主義国からのSNS等を通じた影響工作は民主主義を根幹から揺さぶるものである。
本セッションでは、サイバー教育において、そのような脅威から国民を守るためにどのような取り組みが行われるかを検討する。

12月9日(火) Day 1
 クローズドエリア(Room A)【能動的サイバー防衛/重要インフラ防護/認知戦】

9:00
~10:15
Session 1-A-1 開会式・挨拶・基調講演
開会の挨拶

佐々木孝博 実行委員長(日本)

開会の祝辞
基調講演

飯田陽一氏(日本):内閣サイバー官

10:35
~12:05
Session 1-A-2 能動的サイバー防御:「能動的サイバー防御(ACD)における官民連携と防衛省の役割」

日本において能動的サイバー防御(ACD)の実施が正式に決定され、国家レベルでのサイバー対処体制が新たな段階に入った。その実効性を確保するには、官民の明確な役割分担と連携体制の構築が不可欠である。
特に防衛省には、安全保障の観点から技術・制度・運用面での関与が求められている。
本セッションでは、ACDにおける防衛省の役割を含め、実効的な官民連携のあり方を検討する。

【モデレータ】

橋本豪氏(日本):サイバーディフェンスイノベーション機構

【パネリスト】

バーナード シーマン 博士(ベルギー)ベルギー王立エグモント国際問題研究所

デイビッド ソン ペハムベルガー 氏(オーストリア):EUハイブリッド研究所

インガ ジュカウスキエネ 氏(リトアニア):国家サイバーセキュリティセンター

ジロー クリスチャン・ヒサオ・ミニエ氏(フランス):ドイツサイバーセキュリティ機構

13:00
~14:30
Session 1-A-3
基調講演

コスタディン ラザロフ大佐(ブルガリア):NATO危機管理・災害対応研究所

パウエル ジウバ氏(ポーランド):ポーランド国防軍サイバセキュリティ局長

15:00
~16:30
Session 1-A-4 重要インフラ防護:「重要インフラの防護とレジリエンスの確保」

重要インフラセクターとして、情報通信・金融、交通、エネルギー等様々な分野があるが、これらのセグメントに所属する企業のシステムは、Malwareによる障害の疑いがあっても、その影響範囲が大きすぎる為に簡単にシステムを停止して調査・対応することができない面が存在する。
また国内でサプライチェーンを完結できない場合は外国製製品を重要インフラに使用せざるを得ないというリスクも存在する。
本セッションでは重要インフラセクターの防護はどうあるべきか、何が必要か等を議論して頂く。

【モデレータ】
【パネリスト】

クリストファー マイケル スピリト 氏(アメリカ):アメリカ合衆国エネルギー省 アイドホ国立研究所

クシシュトフ ウィセク 博士(ポーランド):ポーランド軍通信研究所

チャバ クラシュナイ博士(ハンガリー):ルドヴィカ公共サービス大学

マーレン ライン氏(エストニア):NATOエネルギー安全保障研究所

17:00
~18:30
Session 1-A-4 認知戦:「認知領域の安全保障」

経済安全保障のために、ナラティブ(物語)の果たす役割は近年急速に高まっている。これは、情報流通のための環境や、人々が情報を取り扱う方法の変化に基づいている。
ナラティブは、政治、文化と独立に議論することは難しい。しかし、サイバー技術としてこれを扱う場合は、まずエンジニアリングとしてこれを扱う技術について検討することが必要である。
本セッションでは、政治活動や文化活動との関連の上で、ナラティブの安全保障上の価値を保全するための実践的な取り組みを検討する。

【モデレータ】
【パネリスト】

ディディエ ダネット 博士(フランス):パリ第8大学 GEODEセンター

ジェイソン ブラウン 博士/中佐(アメリカ):陸軍サイバー研究所

イスオ ツェン 博士(台湾):財団法人 国防安全研究院

12月9日(火) Day 1
 オープンエリア(Room C)

10:35
~12:05
Session 1-C-2
15:00
~16:30
Session 1-C-4
17:00
~18:30
Session 1-C-5

12月10日(水) Day 2
 クローズドエリア(Room A)【宇宙・電磁戦/破壊的イノベーション/人材育成】

9:00
~10:05
Session 2-A-1 開会式・挨拶・基調講演
開会の挨拶

佐々木孝博 実行委員長(日本)

基調講演
10:25
~11:55
Session 2-A-2 宇宙・電磁戦:「新たな作戦領域としての宇宙空間」

近年宇宙分野のセキュリティ確保が重要視されている。多くの重要インフラを支えるシステムが衛星によるGNSS(Gloval Navigation Satellite System)からの信号を使用しており、これらの衛星は敵対国のKiller衛星の脅威にさらされている。またウクライナ紛争等で使用された長距離ドローン等もGNSS信号による航法を使用していたり、GNSS信号の偽装により民間航空機の運用に影響を及ぼす等の事例も存在する。また有事における海底通信ケーブルの切断時のバックアップとして民間通信衛星を利用する他国政府の動きもあるが、一人の大口株主の意向で利用の可否が決定してしまう民間通信衛星の利用には国家安全保障の面から考えた場合に問題も生じる。 宇宙や電磁波領域でのセキュリティ確保がますます重要な問題となってくるものと推測され、本セッションでは宇宙・電磁波領域でのセキュリティ確保はどうあるべきかを議論して頂く。

【モデレータ】

ジョセフ ジェルネッキ氏(イギリス):王立防衛安全保障研究所

【パネリスト】

石井浩之 1等空佐(日本):航空自衛隊 宇宙作戦群

13:00
~14:30
Session 2-A-3
基調講演
15:00
~16:30
Session 2-A-4 破壊的イノベーション:「量子時代におけるサイバーセキュリティ」

【モデレータ】

富田 章久博士(日本):国立研究開発法人情報通信研究機構 量子ICT協創センター

【パネリスト】
15:00
~16:30
Session 2-A-5 人材育成:「安全保障を踏まえたサイバー教育」

サイバー脅威は技術的なもののみならず、認知的なものも含むものである。
昨今の権威主義国からのSNS等を通じた影響工作は民主主義を根幹から揺さぶるものである。
本セッションでは、サイバー教育において、そのような脅威から国民を守るためにどのような取り組みが行われるかを検討する。

【モデレータ】
【パネリスト】

ジョン デービス博士 大佐(イギリス):サイバーウェールズ

フィリップ トーマス・サスマン 氏(アメリカ):ノリッジ大学応用研究所

ヴァスコ プラテス大佐(ポルトガル):ポルトガルサイバー防衛学校

ユージノ ベニンカーザ氏(イタリア):チューリッヒ工科大学安全保障研究センター

12月10日(水) Day 2
 オープンエリア(Room C)

10:35
~12:05
Session 1-C-2
15:00
~16:30
Session 1-C-4
17:00
~18:30
Session 1-C-5

12月9日(火)・10日(水) Day1・ 2 オープンエリア(Room B)

「体験型TTX(机上演習):ACDにおける重要インフラ防護」

本セッションでは、Active Cyber Defense(ACD)法の枠組みに基づき、重要インフラ事業者を対象とした体験型TTX(机上演習)を実施する。
特定重要電子計算機の届出、インシデント報告、官民協議会での情報共有、政府との協定に基づく分析協力など、ACD法で定められた実務プロセスを体験。能動的サイバー防御の全体像の理解を図る。

協賛

協賛機関・企業・団体

後援

政府関連機関・自治体・企業・各種団体
大使館
研究所・大学関係

支援

現在調整中

会場情報

会場名 イイノカンファレンスルーム
所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階~6階
電話番号 03-3506-3251
URL https://www.iino.co.jp/hall/